訪問診療に携わる中で、私にとって最も印象的だったのはケアマネジャーの存在の大きさです。患者さん一人ひとりの状況に応じて適切な医療や介護の形を組み立てていく姿を目の当たりにし、地域医療を支える欠かせない役割であることを実感しました。
在宅医療には多くの職種が関わり、それぞれが役割を担っています。この関係性は、まるでオーケストラのようだと感じています。訪問看護、訪問介護、リハビリといった各職種がそれぞれの専門性という「楽器」を担当し、全体の調和を導くのがケアマネジャーです。ケアプランという「楽譜」をもとに、各職種が力を十分に発揮できるよう方向付けを行う姿は、まさに指揮者そのものです。これまで私は、そうした卓越した調整力を持つマエストロと呼ぶべきケアマネジャーに数多く出会ってきました。
介護保険制度への理解を深めるため、私は2023年秋にケアマネジャー試験に挑戦しました。初めて問題に触れた際にはほとんど回答できず、一度は断念しかけましたが、受験経験のある看護師さんの励ましを受け継続することにしました。例年の合格率は約20%と決して容易ではありませんが、過去問題に徹底して取り組んだ結果、何とか合格にたどり着くことができました。この学習を通じて、地域ケアが行政や専門職だけで成り立つものではなく、家族や近隣住民、自治会、民生委員、ボランティアといった多様な人々の関わりによって支えられていることを理解しました。また、こうした多様な社会資源を横断的に活用するケアマネジャーの役割の広さにも改めて驚かされました。
私が尊敬する在宅医の一人は、「医師が前面に出過ぎない方がうまくいく」と語ります。在宅医療において主役は医師ではないという認識が重要だという教えです。その言葉を胸に、私は全体の流れを整える役割、いわば打楽器のような立場で貢献していきたいと考えています。ケアマネジャーの方針を十分に理解し、多職種それぞれの働きを尊重しながら、目立ち過ぎず全体の調和を支える存在でありたいと思います。後方からではありますが、この在宅医療という“交響曲”に関わり続けていきます。さあ、これから音楽の時間の始まりです。