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無症候性高尿酸血症

尿酸値が7.0mg/dL以上は高尿酸血症と診断されます。でも尿酸が高いからといって痛風や尿路結石を来たすとは限りません。むしろ高尿酸の方の多くが無症状であり「無症候性高尿酸血症」に分類されます。無症状だけど健康診断で尿酸値が高いと言われた方は薬を始めた方が良いのでしょうか? これに対しては明確な根拠がなく結論が出ていません。実際に日本と海外ではガイドラインの記載が異なります。もりもりクリニックでは患者さんに治療薬の利益と問題点をお示しした上で納得していただける方針を考えます。

踊る尿酸捜査線 尿酸は犯人?

心臓病や腎臓病の患者さんでは尿酸値が高くなりやすいことは広く知られています。このため高尿酸血症は心臓病や腎臓病が悪くなる原因の一つではないかと疑われてきました。重大な事件の発生現場にしばしば居合わせている容疑者が尿酸なのです。尿酸という悪者を逮捕したら犯罪を防ぐことができると多くの人達が考えたのは当然の流れのように思えます。

日本の痛風ガイドラインでは痛風や尿路結石を伴わない無症候性高尿酸血症に対して尿酸9mg/dL以上であれば尿酸降下薬を使用することを推奨しています。さらに腎臓病・高血圧・虚血性心疾患・糖尿病・メタボリックシンドロームを合併している場合には尿酸8mg/dL以上で薬物治療となります。

しかし海外のガイドラインや教科書は日本とは異なります。費用や副作用を伴う薬剤投与には確固たる証拠(エビデンス)が必要で、証拠不十分であれば推定無罪の原則により薬剤による治療は避けるべきとする考えです。これまで尿酸降下薬を投与することで心血管病や慢性腎臓病の悪化を防ぐ試みは何度もされてきましたが、明確な利益を示した結果は得られていません。高尿酸を逮捕しても臓器障害という事件が減らなかったのです。このため欧米のガイドラインは臓器障害の予防を目的とした無症候性高尿酸血症に対する尿酸降下薬の投与には反対の立場です。

尿酸は目撃者?

それでは尿酸がどんなに高くても薬は始めない方がよいのでしょうか? 尿酸値9mg/dLを超える患者さんでは5年以内に20%の頻度で痛風が発生すること報告されています。また血液の尿酸が過剰に尿中に排泄されると尿路結石の危険性が高くなります。無症候性高尿酸血症では何も問題が発生しない方の方が多いのですが、一定の確率で痛風や尿路結石を今後に来しうるリスクがあることはご理解ください。私は痛風が心配で尿酸を下げることも正解、問題が起きるまで薬を飲まないことも正解だと考えており、患者さんのお考えに沿って投薬を決めています。間違いなく言えることは尿酸が高い方は心臓病や腎臓病が見つかる可能性があるということです。尿酸は内蔵の病気を起こす犯人ではないかもしれませんが、病気を見つけるきっかけとなる目撃者となりえます。尿酸が高いと言われた方は一度ご相談ください。

参考文献

(1) 『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 [2022年追補版]』(PDF)

(2) 2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout. FitzGerald JD, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2020. PMID: 32391934 Free PMC article. (米国の痛風ガイドライン)

(3) UpToDate. Asymptomatic hyperuricemia, updated Apr 11, 2023. 最もよく読まれている電子教科書

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