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GFRと糸球体

eGFRとは

採血検査のなかに「eGFR」という項目があります。eGFRは推定糸球体濾過量(estimated Glomerular Filtration Rate)の頭文字からなる言葉ですが、ざっくりと言えば腎臓の機能を100点満点で何点を示す数値と考えてください。腎臓の機能が低下した場合にはeGFRが低下するので皆さんの腎臓の健康度を測る指標として大変重要です。eGFRは日本人に合わせた計算式が考案されていて一般的には採血結果のクレアチニン値・身長・体重・性別から推定(estimate)されます(文献5)。eGFRの平均値は若い方で100程度ですが年齢とともに自然に少しずつ低下します。高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満・心血管病などの合併症のない健康な日本人のeGFRの平均は50才で82.3、70才で72.9と報告されています(文献4)、eGFRが60未満となったら要注意ですので、腎臓の機能を損なう原因がないかもりもりクリニックまでどうかご相談ください。

シスタチンC

クレアチニンは筋肉の分解産物なのでeGFRは筋肉量が平均から外れた方では間違った数値を示します。スポーツや仕事柄で筋肉量が多い方はeGFRが真の数値より低く出てしまい腎障害の疑いとして健康診断で引っかかることがあります。逆に運動量が低下して筋肉量が少ない患者さんではeGFRが実際よりも良い数値となり腎機能障害に気づくのが遅れる危険性があります。このため筋肉量が平均的ではない方の腎機能の評価には血液のシスタチンCという物質を測定します。シスタチンCの数値からもeGFRを推算する計算式があります(文献5)。健康診断で腎機能障害とされた方の趣味が筋トレやトライアスロンだったので、eGFRをシスタチンCで測り直したら正常範囲内だったことが何度もありました。スポーツ歴や運動習慣、身体活動度から筋肉量が平均的ではないと推測される方の腎機能は一度はシスタチンCを測ることをお勧めしています。

糸球体って何だろう?

腎臓の中には非常に細い血管(毛細血管)が毛糸の球のような形になっている「糸球体」という構造があります。腎臓1個の中に糸球体は100万個もあり、血液をきれいにする浄化装置の役割を24時間フル稼働で行っています。糸球体には体内の血液が次々に送られており、フィルターのような膜を通過した後に尿が作られていきます。効率よく血液を浄化するために糸球体には流入する血液は一定の圧力を維持できるように、糸球体に流れ込む血管(輸入細動脈)と流れ出る血管(輸出細動脈)の内径が変化します。

糸球体の中の圧力(糸球体内圧)が高くなると血液を浄化する効率は上昇するのですが、圧力が強くなり過ぎると糸球体が早く傷んでしまうという問題がおきます。自動車のエンジンに例えると、アクセルを踏み過ぎると燃費が悪い上にオーバーヒートになってエンジンが故障してしまうということになります。腎臓の機能が低下している患者さんの腎臓を長持ちさせるためには、腎臓をオーバーヒートさせないような治療が大変重要になります。

輸出細動脈を拡張させて糸球体内圧を下げる治療は以下のものがあります。糸球体内圧を下げる薬剤を開始した直後は一過性の腎臓の機能が低下(eGFR低下)が見られますがアクセルを緩めてスピードが下がった状態です。腎臓が傷んでしまった訳ではありませんので定期的な採血で悪化が進行しないことを確認できれば心配はありません。

体調が安定していれば腎臓のアクセルはほどほどに控えた方が良いのですが、脱水や感染症などで腎臓の機能が低下しそうな時は糸球体内圧を下げ過ぎると血液の浄化が不十分になってしまいます。ACE阻害薬/ARB/SGLT2阻害薬は腎臓病の患者さんでしばしば使用されますが、食事が取れない時や血圧が下がってきた場合にはこれらの薬剤を継続して良いかどうかを医師に相談するようにして下さい。

参考文献

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